当然のことですが、第一にすべきは相続人の確定です。戸籍・閉鎖戸籍・原戸籍・住民票等の資料収集、地元精通者や確定した相続人への聞き取り等を通じて、相続関係図を順次完成させていきます。この作業と並行して、この土地が村有林等であって、地縁団体での登記が可能な物件なのかどうかの調査を進める必要があります。
可能性がある場合、地縁団体登記に必要な要件をクリアできるのかどうか、特に強力な非協力者がいないかどうかを確認しておくことが大切です。また、こうした調査を進める場合には、起業者側で作成した相続関係図を調査相手に示さないことも大切です。それは、戸籍関係の情報は重要な個人情報だからです。
この相続人調査をしていくうちに、発生が想定される問題としては、①相続人の存否不明・所在不明、②海外移住、③外国籍の取得(帰化)、④外国籍後の相続発生、⑤外国人との婚姻・離婚等です。問題が一定整理できた段階で、事業計画による工事着手時期との擦り合わせを行い、問題解決に向けた手法を整理しておく必要があります。
すべてを土地収用制度で解決できるわけでありませんが、必要な努力をしても解決しないときの最終手段は、やはり土地収用ですから全相続人を把握して、交渉できる見込みが立たないときは、事業認定手続きにいつから着手するのかを決めておく必要があります。
例えば、相続人の存否不明・所在不明については、a)不在者財産管理人の選任、b)失踪宣告、c)収用裁決という処理方法があり、それぞれに要件が異なりますし、処理期間も扱う機関も異なります。こうした案件が複数あるときは、どの手法で処理していくのか起業者としての方針を決定しておく必要があります。
海外移住については、一時的移住なのか、移民なのか、現国籍はどこなのか等を確定していく必要があります。いずれにしても、領事館等の協力や現地の法律に強い弁護士法人の協力も必要です。だれがどのようにして相続人と接触し、交渉を進めていくのかを決めていかなければなりません。
その際に、家系ごとにまとめ役をしてくれる協力者を探し当てることも大切です。帰化された方がある場合は、その国の相続法も勉強しなければなりません。契約書の作成方法、補償金の送金、補償金の源泉徴収等の問題もあります。難しい案件であれば、弁護士等の第三者も入れたプロジェクトチームを構築し、処理を進めるということも視野に入れ、考えていかなければなりません。