土間コンクリートは土地の一部であり、土地代に含まれているため、補償の対象にならないと考えます(ただし、補償されている起業者もあります。)。「公共用地の取得に伴う損失補償基準細則」第1によれば、「土地の附加物とは、土留施設、階段、溝、雑草木等土地と一体として効用を有するもので、土地と独立に取引価格のないものをいう。」とされています。本件土間コンクリートも現在の低地を利用するために土地と一体になって効用を果たしているもので、土地価格に含まれているものと考えます。
階段の設置費用を補償することは問題ないと考えます。「別記4 残地工事費補償実施要領」第2条に該当し、「階段を設置するのに通常要する費用を補償する」ことができます。また、「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失補償基準第60条の運用について」二(2)ロに該当し、階段の設置が妥当と判断されます。階段は新品になりますが、あくまで土地の一部であり、このために土地代が上がることはありませんので、減耗控除の必要はないものと考えます。
各相続人の詳細な主張、売買予約を行った経緯、起業者との交渉熟度等の情報がないので、用地交渉の進め方についてお答えすることはできませんが、法律上の考え方だけをお答えします。
仮登記には1号仮登記と2号仮登記がありますが、本件の場合は、2号仮登記の「売買予約」が登記原因となっていますので、正式な売買契約は成立していないと考えられ、土地所有権はBには移転していません。
また、売買予約権が20年以上行使されていないなら、売買予約権は10年が消滅時効ですので、Aには予約解除権が発生しています。そして、仮登記が相続されていても、相続は時効の中断事由には該当しませんので、Aの相続人から時効の援用をするためには仮登記設定者に、その旨を記した内容証明郵便を送り、相手が認めれば、仮登記を消すことが可能となります。
仮に、相手が争う場合は裁判となりますが、固定資産税を土地所有者Aの相続人が払い続けていること、仮登記設定者Bが仮登記を放置していること、仮登記設定者が現地を管理した実態がないこと等から考えて、仮登記設定者Bに所有権が認められることはほぼ無いと考えられます。
以上のことから、土地売買契約は土地所有者Aの相続人と行う必要があります。その契約に先立って仮登記を抹消する必要がありますが、起業者が土地売買契約を根拠に債権者代位登記で仮登記を抹消することはできません。
よって、まず、両方の権利について相続登記をしてもらった後、AとBの相続人の共同申請で仮登記の抹消申請をしていただく必要があります。
なお、仮登記設定者Bの相続人に代理受領された金銭は土地売買代金ではありませんので、5,000万円控除の対象とはなりません。一時取得としてみなされて課税されますので、その旨Bの相続人に事前に十分説明しておくことが大切です。
土地改良区の運営や水路の維持管理、事業費(受益者負担分)などは借入金、賦課金によって賄われており、その額は土地改良区の受益面積全体で工面されています。公共事業のために農業をやめる場合、その土地の維持管理費や償還金等を残りの土地で負担するようになるため、残りの組合員に負担をかけないよう、その土地の負担相当分を精算するものとして決済金を支払う必要が生じます。
このように、決済金は土地改良事業費の受益者負担分の後払いの性格を有しています。このことから、受益者負担分は土地改良事業で整備された農地の価格に体現されている(土地改良事業によって農地価格が上昇した)はずですので、公共事業での土地買収価格には、転用面積に応じた農地転用決済金が含まれていると考えられます。従って、決済金相当額を別途に補償すべきではありません。
なお、この点について土地改良区、土地所有者とよく話し合っておかないと土地所有者が決済金の補償を受けていないとして土地改良区に決済金の支払いをせず、土地改良区から起業者に決済金を原因者として支払うよう依頼されることがあります。できれば、農地転用決済金について、土地売買代金支払時に土地改良区に起業者からあらかじめ払い込めるよう、土地所有者に代理受領の手続をとってもらうよう調整しておくことをお勧めします。