閉じる

コラム

登記しよう!

「用地取得は交渉技術も重要だが、登記も絶対忘れないで!
登記(内容の確認)ではじまり、
登記(移転登記・設定登記)で終わる…!?」

用地業務の流れのなかで、多様化した登記内容・登記手続について、具体的に分かり易くご紹介します。

はじまりはいつも登記vol.4 "所有者"を探せ -相続人の探索

2022年05月25日 公開
登記しよう!! はじまりはいつも登記vol.4

 とある市の用地課に異動してきた新人、緑山さん。用地の業務も初めてで、勉強の日々です。
 前回、登記記録の取得方法や見方を学び、"現在の所有者"が読み取れるようになったはずですが・・・?

 

上島さん

さて、前回は登記記録の見方を説明したよね。

緑山

はい!最後に登記されている人が現在の所有者さんだということも覚えましたよ!

ということは、これで「所有者の特定」ができるってことですよね?

上島さん

そうだよ、と言いたいところなんだけれど・・・実はそうでもないんだ。

緑山

え!?どうしてですか?

上島さん

最初にみせた「用地取得と登記業務の関わり」の図や説明を思い出してごらん。

緑山

最初の図・・・えっと・・・左側の【登記簿の名義人の確認】という項目に「所有者が死亡」「所在不明」等、って書いてありましたね。

そうか、そのときに相続登記ができていなくて所有者がはっきりしないことがあるってこともお聞きしたような気がします。

上島さん

そうそう。ちなみに、右側には「相続登記」「相続財産管理人(名変登記)」「不在者財産管理人(嘱託登記)」「特定不能土地等管理者」等と書いていたよ。

(覚えていない人は前の記事「Vol.0 登記からみる用地事務」を読み返してみてね!)

上島さん

まず「所有者が死亡」の場合だけど、所有者の方が亡くなったら、相続が発生するよね。でも、相続登記が完了しているかどうかは、登記記録からはわからないよね。

緑山

た、たしかに。でもそれなら、早く登記をしてもらえば解決じゃないですか?

上島さん

そう、そのとおりだよね。じゃあ、誰に相続の登記をしてもらおうか?

緑山

え?それは・・・登記簿の最後に記載されている所有者の住所を探せば、そこにご家族が住んでいるだろうから、その方が相続人として登記すれば・・・。

上島さん

うん。普通はそうして、所有者が死亡していることや相続人が誰かということを見つけるんだけどね。

例えば、その記載されている住所に違う人が住んでいたり、まったく誰も住んでいる形跡がなかったらどうする?

緑山

なるほど、所有者の住所変更がされていない場合などがあるってことですね。

所有者さんの住民票が取れれば、新しい住所や死亡していることもわかるんだけどなぁ。

かなり前に転居していたら、古い住民票は保存期間が切れて取れなくなっていますよね(*1)。どうすればいいんだろう・・・。

上島さん

問題はそこなんだよ!それでいままでみんな苦労してきたんだよねぇ。

そのために、平成30年に新しい法律(所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法)ができて、所有者を合理的に探索する方法が講じられたんだよ!

緑山

え~!それは令和になる前の話なんですね。すみません、私あまり内容を知らないんですけど・・・。

上島さん

具体的に説明しようとすると内容が盛りだくさんだから・・・、詳細は次の機会に話すことにしたいけど、大きく分けていうと、

いろんな公的資料(固定資産税台帳、地籍調査票、農地林野台帳、戸籍(除籍)、住民票、戸籍の附票等)の謄本や写しを、起業者が請求できるようになったこと と、

法務局側からも市町村の要望等を聞いて積極的に探索してもらえること

になったんだよ!

緑山

そうなんですね!それで相続人がみつかったら大助かりですね。

上島さん

でもね、やっとのことで相続人を探し出したとして、相続人が複数いたら誰が土地を相続するか話がまとまらないこともあるだろうし、相続が保留されている間に相続人が死亡したことで、さらに相続が発生することもあるからなぁ。

そうなると、相続人が多数になり、相続が完了するにはかなり時間を要するだろうね。

ほかにも、相続人が海外にいる場合、所有者に身寄りがない(相続人がいない)場合、相続人全員が相続を放棄している場合・・・いろんなケースがあるよ。

(例)相続人が海外居住 (例)相続人がいない (例)全員が相続放棄
緑山

そんなぁ。相続っていろんな課題があるんですね・・・。

上島さん

そうだね。だから相続については、令和3年に民法が一部改正されたり、新しい「相続土地国庫帰属法」という法律が制定されたりしているよ。これによって、

   ・相続登記の義務化

   ・登記名義人の住所変更の義務化

   ・相続人申告登記の新設

   ・相続する土地の所有権を放棄して国庫に帰属させる制度の新設

   ・所有者不明土地等管理者の選任  等

次々と新しい対応施策が講じられてきているよ!

上島さん

これも内容が結構多いので、具体的には次の機会に回すとして・・・、長くなるからここで一息つこう。

次回は、①「特定不能土地等管理者」と、②「所有者不明土地等管理者」についてお話するね。

緑山

はい、よろしくお願いします!

 

≪参考≫

*1住民票の除票・戸籍の附票の除票の保存期限

 住民票の除票・戸籍の附票の除票の保存期限は、現在は150年間である(住民基本台帳法施行令の一部改正(令和元年620日施行)により延長)。

 ただし、平成26619日以前に消除または改製された住民票の除票については、その当時の保存期間が5年間であったため、すでに期限を超過しており取得することができない。

 


 今回は「所有者の特定」には様々な課題があること、またその対策のひとつである「相続土地国庫帰属法」等についてご紹介しました。次回は引き続き「所有者の特定」に関わりのある「特定不能土地等管理者」「所有者不明土地等管理者」等の制度についてご紹介していく予定です。次話以降もぜひご覧ください。

 

バックナンバー

ページTOPへ