- 伝わる技術や人材が少ない中で必要な研修とは
- 失敗を恐れないために、用地屋が身につけるべき力
博士から渡された「The First Penguins 新しい価値を生む方法論」を読み終えた田中は、読後感の報告と本の返却のために博士の席へ向かいます。この本から学んだことや、若者分析についての考えなどを聞いた博士は、何と声をかけてくれるのでしょうか。
博士から渡された「The First Penguins 新しい価値を生む方法論」を読み終えた田中は、読後感の報告と本の返却のために博士の席へ向かいます。この本から学んだことや、若者分析についての考えなどを聞いた博士は、何と声をかけてくれるのでしょうか。
頭の中を色んな考えがグルグルと回っている田中は、表情は暗いながらも右手に本を力強く持ち、少しずつ見えてきた新しい研修の方向性を博士に報告に行った。
その報告や気づいたことを静かに聞いていた博士は、何と開口一番「すごいね」と田中へ真っ直ぐに視線を送り、「君こそが成長の見本だ」と珍しく褒め称えた。
「あなたが成長しているんだから、それを研修に結集させればいいんだ。簡単じゃないか。とりあえず、もう一つ追加で宿題を出すよ。若者が失敗を恐れず用地交渉に行けるようになる研修又は別のサービスを開発せよ、というやつね。よろしく」
また博士が気が遠くなりそうなことを言い始めた。
気が重いけれど、次のステップの宿題が出たし、とりあえずやるしかないのか。
若手職員が辞めないで、かつ失敗を恐れないように。
それが実現できれば本当に良い人材を育てられるなぁ。
「博士、ここまで推測の部分も多いのですが、特におかしい内容はなかったですか?」
「若者分析はいい視点だったよ。今の時代には良き先輩や良き交渉技術という資源が少ないという認識も間違っていない。昭和時代のペアのあり方は若者に合っていて、人を成長させるいい制度であったという認識もいい。ということは、昭和時代のペアガシラがカバンモチにしてあげていたことをサービスとして新たに開発すればいいということではないかね?」
なるほど、ないものは仕方ないと思っていたけれど、そういう仕組みを持つサービスを考えればいいのか。でも鶴さんは教えないことを流儀としていたと言っていたし、感じ取れるようにならないと意味がないと言っていた。
「博士、それはそうなんですけど鶴さんが...」
「それはそうや。わかってる。でも、なぜ教えられない?なぜ、教えても意味がない?その理由を鶴さんは何と言ってたんや」
そこまで聞いてないし、そういうもんだと思ってしまっていたなあ。
「そう憂鬱そうな顔をせずに。一緒に考えていけばいいじゃないか。で、その前に、『用地取得達人への道』(序走編)を読み直してきてくれないか?」
ここまで苦労して何かつかみかけたというのに、序走編に戻れ、ってどういうこと?でも実際、序走編がどんな話だったかはっきり覚えていないし、読み直してみようか...。
「ではまた、30分後に戻ってきます」
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「用地取得達人への道」のバックナンバーのいちばん古いものまでさかのぼり、リンクからページを開いて読んでみる。
▼ 皆さんも読んでみてくださいね ▼
不思議と、前に読んだときと全然気になることが違う。
前に読んでいたのに、全く違う内容が気になってくる。見える景色が違うというのはこういうことかな。
あのときもわかった気になって読んでいたけど、全然読めていなかったのかもなぁ。博士が褒めてくれたとおり、成長しているのかもしれないな、ちょっとうれしい。
改めて読み返した助走編には、おおよそ次のようなことが書かれていた。
まず、人の話を聴けるようになりなさい、そうすれば、補償理論など不十分でも用地交渉に行ける。用地交渉というチャレンジを積み上げれば、自分のことも相手のこともわかり、その間に補償理論が身に付けられる。徐々に自信がつき、ついに契約が取れることで確固とした自信になる。
博士は最初に、ここに答えを用意しておいてくれていたんだ。
やらないといけないことは、ここに明確に書かれている。
だから「序走編=ここから走り始めてみなさい編」だったんだな。
「博士、読み終わりました!答え、書いてくれていたんですね」。
「まず人の話を聴けるようになりなさい、そのとおりなんだよ。聴く方法を教えればいいんだ。でも鶴さんは聴く方法は教えられないと言った。それでも、だよ。聴くから始めるしかないいんだ、結論から言えば」
え?禅問答?
「えーっと...どういうことですか?」
「では、ちょっと質問するけれど、門構えの【聞く】と、耳偏の【聴く】と2つの漢字があるよね。どう違うと思う?ベストセラーになった阿川佐和子さんの『聞く力』と私たち用地屋に求められる『聴く力』はどう違うのかね?」
学校では、教わった記憶がある。
門構えの【聞く】はhearで、相手の声が単に耳に入っている感じ。耳偏の【聴く】はlisten to、注意深く興味を持って聞くというイメージかな。
「注意力と集中力のかけ方の違いということか。そういうなら、われわれ用地屋は相手の話を注意深く集中して聞けばそれで済むということか。それに、阿川佐和子さんはゲストの話を聞き流しているということになるけど、合っているか?」
そういわれるとそんなこともないなあ。何が違うんだろう。
「それを探ってもらうのが君に与えられた次の仕事だよ。これが解けない限り、今回の仕事は前に進めることができないよ」
確かに。それがわからないと新しいサービスの糸口も見つからない...。
聴くから始めよ。されど、聴くは教えられない、か。
「聴くはなぜ教えられないのか、教えられるとしたら、どうやって?ということですね。でも、昭和時代のペアガシラのやり方じゃないんですから、少しはヒントをください」
「阿川さんの聞く力は、ゲスト本人が話さないでおこうと思っていたことや本人も気づいていなかったことをどんどん引き出す力だよね。われわれ用地屋の聴く力は、相手に移転という大事業を決意、計画、実行させる力だ。ただ話を相手から引っ張り出していくだけでは終わらず、相手に具体的に行動を起こさせるもの。もっと長期的視点で、もっと大きなエネルギーなんだと思う」
話すは技術でなんとかできる部分があるが、聴くのは<人格>そのもの。
だから、教えることができないものだ。
「あくまで個人的見解ではあるが、それが私の結論だ。」
「おっしゃる意味は分かりました。でも、何から勉強したらいいでしょうか」
「あなたのやり方でやってくれたらいいけれど、『聴く』がいかに厳しいものか、その道を究めている人たちの本を読んでみてはどうだろう。カウンセラー、精神科医、キリスト教信者、仏教信者と色んな人がいるよ。あと、聴く技術を研修で教えている方の本もある。でもまずは『プロカウンセラーの共感の技術』(杉原保史・著)から入るのがいいかもしれない。研修は来年度なんだし、半年くらいかかってもいいよ」
業務の間にまた本を読むと思うと大変だけど、今回のこと以外にも使えそうだな。
それにゆっくりでいいといわれたから少し気も楽だ。
席に戻って、ゆっくり考えながら読み始めてみよう。
「半年かけて『聴く』に取り組んでくれたまえ」と本を渡された田中は、上機嫌でありながら、見えないものへの挑戦を依頼されたようで不安も募ってきているようです。でも、いつも禅問答のような博士がずいぶんとはっきりと答えややるべきことを教えてくれていましたね。
田中は次回から『プロカウンセラーの共感の技術』(杉原保史・著)を読み始めます。この本は創元社から2015年に発行された本で、多くの読者に愛されています。どんな感想を持つのでしょうか。お楽しみに!
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