- 現状のリフレームで糸口を掴む
- 若者の行動、考え方を分析していく
田中は読み進めている「The First Penguins 新しい価値を生む方法論」から、新しい考え方のヒントをもらい、目の前の課題を解決していこうとしています。若手職員をありのままに見つめ直し、何をどういう順序で教えていけばよりよい現場になるのか、思考を進めていきます。
田中は読み進めている「The First Penguins 新しい価値を生む方法論」から、新しい考え方のヒントをもらい、目の前の課題を解決していこうとしています。若手職員をありのままに見つめ直し、何をどういう順序で教えていけばよりよい現場になるのか、思考を進めていきます。
この本は「新たな価値の創造に挑む人」のための本であり、
今の田中にはこれ以上なくぴったりのものだ。
登場人物はジョージ、アート、メタという名前の3人。特に田中は、商品開発をしている3人が新しい気づきを得る冒頭部分を何度も繰り返して読んだ。
読み進むにつれて彼らの状況と今の自分の状況との共通点も見つかり始めたようで、のめり込むように読みふけっていた。
この3人は商品開発を進めているので、私がやらないといけないサービス・研修の開発とは少し違うかも知れないけれど、新しいものを生み出すという枠組みは同じはず。
特に読んでいて気になったのは、今回の研修のターゲットである今の若者を、ジョージ、アート、メタが観察分析した部分だ。
カフェで会話のないカップル。同性の友人同士であっても話をあまりしない人たちが多い。
当たり障りのない話はするが"今日は顔色がいい"とか"最近髪が伸びっぱなし"とか、お互いを知っていないと出てこない、そういった会話がなくなっている。
これは承認の貯金が不足しているから起こっているのではないか。
承認欲求は大昔から人間がもっているもので、承認自分自身や他者から十分得られていて適度に蓄えていれば、少々のつらいことは耐えられる。
その貯金がないものだから、自分からも他者を叱ったり、褒めたりすることがなかなかできなくなったのではないか。意見が衝突することが煩わしく、意見が合わないぐらいなら意見を表明しないほうが楽でいいとみんなが考えているのではないか。
承認の貯金がなくなったのは、人と人との間のフィードバックがなくなったからではないか。いろいろな"遠慮"が社会に蔓延していて、ポジティブなこともネガティブなこともフィードバックがなく、反応がないから、自分で自分のことがわからなくなる。
これが続くと、自分への興味を失っていく。自分自身への興味がなくなれば、当然自分の話をしなくなるし、さらにフィードバックもなくなり、承認の貯金も作ることができない。
その結果、自分を信じて行動できなくなり、防御的になって新しいことにチャレンジしなくなる。チャレンジしないので、学びが得られなくなる。打たれ弱くなり、周りを気にして失敗を恐れるようになる。
そうしてまた、承認の貯金が不足していく。そんな悪循環が起こっているのではないか。
そうであれば、自分のことをもっと知り、理解し、自分自身をもっと認めたい、自分自身でも承認の貯金をつくっていきたい、というニーズが世の中にあるといえるのではないか。人ともっとうまくつながり、フィードバックを得ることで自分を理解していきたい、というニーズがあるのではないか。
(参考:「The First Penguins 新しい価値を生む方法論」P112~114 他)
観察を終えたジョージ、アート、メタは、このように仮説を立てている。
"他者に興味がない"という視点から、"自分自身に興味を失っている"という新しい視点にたどり着いた。
この作業は"リフレーム"と言われ、「ビジネスにおいてそれまで常識とされていた解釈やソリューションの枠組み(フレーム)を新しい視点・発想で作り直すこと」と書かれている。
新しい価値=イノベーションは、論理的思考の積み上げで生み出すことはできない。論理的思考の積み上げでできるのは改善だけ。新しいことを発見していくには、起こっている物事を見ながらも、捉え方を根本から変えていけ、ということらしい。
用地交渉の現場は、現状、ないものづくし。
あるものは、若手の用地職員だけ。
それじゃあ何もできないと思っていたけど、この3人のように自分の視点を変えて、リフレームすれば、何をしていくべきか導き出せるような気がしてきた。
この本の最終結論として、3人の登場人物が導き出した新しい商品の中身はこういうものだ。
私たちは、"自分の心情を素直に吐露すればフィードバックが返ってくる聞き役"と、"自分が何を考え、どこに向かいたいのかを気づかせてくれる気づかせ屋"の両方を兼ね備えた、"気軽に自分を認めさせてくれる存在"としてのモノ・サービスが必要なのだと考えました。
従来から、"元気を取り戻す"という価値軸が存在していました。マッサージを受ける、美味しいものを食べる、がその例になります。
今回、私たちが提案したい新しい価値軸(リフレーム)は、"自分を理解し、自分を承認する"です。
私たちが今回提案する価値は、人がモノに自己開示し、モノが人にフィードバックを返し、そのうえで人間が内省するという、"自分を見つめ直させてくれるモノとそのサービス"です。これを私たちは、Re:YOUと名付けました。
ユーザーは自分自身の状態に気づき、理解し、自身からの承認を得ることで本来の自分を取り戻し、自分の向かいたい道に進んでいくことができるようになります。
(参考:「The First Penguins 新しい価値を生む方法論」P289~290)
これは結論なんだけど、そこへ至った考え方の順序を一つひとつ拾ってリストアップすると、こういう感じ。
| ① | 自分に興味を持つ。自分を知る。そうすると、自分の日常や好き嫌い、不平不満ややりたいこと、体調の浮き沈み、世間との接し方なんかが見えてくる。 |
| ② | 他人、相手に興味を持つ。他人、相手を知る。そうすると、他人の色々な面が見えてくる。自分との違いが分かってくる。 |
| ③ | 見えてきたものを相手にフィードバックしてみる。相手も自分にフィードバックしてくれる。それでお互い気づきが得られる。 |
| ④ | 気づきが積み重なると、しっかりした自分が確立される。 |
| ⑤ | 自分が確立されると自信がついてきて、何かにチャレンジしてみようという気になる。 |
| ⑥ | 実際チャレンジしてみるとやれるものだということが分かる。それと同時にやったことから新たな学びが得られる。 |
| ⑦ | チャレンジしていろんなことができだすと、周りは気にならなくなり、失敗を恐れなくなる。元気を取り戻せる。 |
| ⑧ | 失敗を恐れずチャレンジすると、失敗は成功への道しるべにすぎないことが分かる。 |
| ⑨ | そうなると、いろんなことをやり遂げられるようになり、他人や世間、そして自分をも評価できるので承認の欲求が満たされる。 |
これは、今世間で起こっている若者現象の逆サイクルということかもしれない。これをこの本では「Re:YOU」という商品(カウンセリングの知能を備えた小型ロボットのようなもの。ただし、手足はなく動かない、対話機能中心のもの)で実現していこうとしている。
じゃあ、私は用地交渉の現場を舞台に、どうすればいいのだろう?
この本の論理に従っていくと、若手用地職員に取り組んでもらいたい行動は次のようになる。
| ① | 自分を知り、相手を知り、世間を知る。 |
| ② | 相手に興味を持ち、相手(その家族や経営体まで)の状況や世界観まで知る。 |
| ③ | 世間話ができるようになる。 |
| ④ | 相手の話を聴き、相手にフィードバックできるようになる。 |
| ⑤ | 相手からもフィードバックしてもらえるようになる。怒られることも一つのフィードバック(あなたは未熟だというフィードバック、私はもがき苦しんでいるのでその矛先をあなたに向けているというフィードバックなど)ととらえられるようになる。 |
| ⑥ | すべてを自分に対するフィードバックととらえられるようになると、失敗と言う概念がなくなる。そして、失敗を恐れないようになる。失敗すれば、そこから学んで自分を直せるいい機会ととらえて、自己改善に努められるようになる。 |
| ⑦ | そうした中で、ついに契約書に署名押印をもらうという経験ができる日が来る。 |
用地交渉にでかけている若者たちは、自分のこと、他人のこと、世間のことに興味がないから何も深く知らない。当然、交渉相手にも興味がないから相手がどういう人かも想像がつかない。
何も知らないから世間話もできず、いきなり付け焼刃の補償理論を語ってしまう。
この補償理論は被補償者のそれぞれの置かれた状況などお構いなし。心が伴わない財産価値論となってしまう。だから、相手を怒らせる。
若者は家でも学校でも会社でも怒られた経験が少ないから、交渉相手に怒られたことがすごくショックで、「失敗してしまった」と情けなくなる。二度と失敗はしたくないから、用地交渉に行きたくなくなる。行かなくなるとますます行けなくなる。
行けなくなるとますます自信がなくなる。そして、自分の承認欲求を満たせないままとなり、自分のプライドを守れない。
知らないのは仕方がないこと。それは教えていけば何とかなりそう。
でも、ジョージ、アート、メタのように困難に直面したとき、とにかくやってみよう、やれるようにしてみようと行動を起こし、失敗を積み重ねて改善に向かえる人と、逆にできない理由を考えて行動を起こさないことを正当化する人もいる。
この考え方の違いは、小さな違いのように見えて、時間が経つと大きな違いに発展していくはず。研修では考え方を教えるだけでなく、そこまで突っ込んでいかないと役に立つものにならなさそう。この分かれ道って、どこからくるんだろう?
何から教えるようにすればいいのかなぁ。
まだまだ道のりは遠いかも知れないけれど、少しは押さえどころがわかった気がする。とりあえず、本を返しながら、博士に相談してみよう。
「The First Penguins 新しい価値を生む方法論」を読み込み、だいぶ研修の糸口を見つけた田中。ここで一旦、博士の元へ本を読んだ感想を報告に行くようです。
ジョージ、アート、メタの3人が開発した商品やその過程については、「The First Penguins 新しい価値を生む方法論」にとても詳しく載っていて、かなり再現性が高い形で書かれています。ご興味のある方はぜひ本もご一読ください。
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