「用地取得マネジメント」とチーム力について学び、その大切さと我が社の「チーム用地」のすごさに気づいた田中。博士は、そのチームをつくり上げているのは目標を設定しているからだと言います。どんな目標を取り決めているのでしょうか。

「用地取得マネジメント」とチーム力について学び、その大切さと我が社の「チーム用地」のすごさに気づいた田中。博士は、そのチームをつくり上げているのは目標を設定しているからだと言います。どんな目標を取り決めているのでしょうか。
博士に「『チーム用地』の用地取得マネジメントと国土交通省が通知している用地取得マネジメントの違いについて」のレポートを提出し、報告もし終えた田中。本当ならここでホッと一息ついた後は、自分の通常業務に戻るべきなのだが、さすがの博士は、まだまだ続けて田中にたたみ掛けていく。
博士から次に投げかけられた質問は、「チームを単なるグループではなく、チーム足らしめるのは目標だ。じゃあその目標にはどんな段階があり、チーム内でどんな目標の共有が必要と思うか」というものだった。田中は「いきなり難しすぎる」と面食らいながらも、博士に食らいついていく。
「もしかしたら的外れかもしれないですが...。例えばですけど、年内に60%の契約を取ってくるとか、将来の工事に禍根を残さない契約をしてくるとか、年度内に収用移行のメドをつける、といったことですか?」
「まあまあ、確かにそれも目標ではあるな。しかし、今ここで聞きたいのはチームがチームとして機能するための目標は何か?ということなんだよ。君が言った目標は『成果目標』という段階の目標だね。仕事をする上では最も基本になる目標ではあるけれど、そういう目標を掲げたからってチーム力が発揮されてその目標が実現すると言えるかね?」
「ウムー、私には難しすぎます。頭がついていってません」
博士の言っていることが全然わからなくなり、思わず本音が口をついて出た。
「あのね...」と博士が視線を一度遠くにやった。
ゆっくりと周りの人たちを見渡してから、改めてこちらを見て話し始める。
「我が社にも目標管理制度という評価制度が導入されているだろう。君は目標を立てるとき、どんなことを書いているんだい。さっきみたいに契約を取るとかメドを付けるとかっていう最終的に手に入れたい『成果目標』だけを書いてるの?そんなことはないよね、どうだい?」
「あっ!わかりました。私が所属する組織に与えられた『成果目標』を達成するため、私はいついつまでにこんなことをします、ということを書いています。確かにそれも目標ですね」
博士は大きくうなづく。
「そうだよ。成果目標を達成するために何をするか明確にしたものを『行動目標』というんだ。じゃあ、成果目標と行動目標があれば、チームはチームとして機能するか?どう思うね?」
どんどん博士に突っ込まれるが、まだイマイチ何を聞かれているのか把握できない。でも何も答えないわけにもいかないし、意識して深めに息を吸い、自分なりの答えを返すしかない。
「成果目標とそのための行動目標があれば、グループではなくチームとして機能するんじゃないでしょうか。そもそも目標管理制度ではそれしか書きませんし...。それでしなかったら単純に困っちゃいますね」
「確かに、それはそうだね。でも、チームは個人の力の集合体以上の力を発揮できる組織体なのだとしたら、成果目標と行動目標の2つを定めただけで、それが可能となるのかな?もし君の考えの通りにいくとしたら、個人の行動目標がすべて達成されたら成果目標も達成されることになる。ではもう一つ質問しよう。個人の行動目標がすべて達成されるという担保は何かね?」
普段あまり考えていないことを聞かれるので、自然と呼吸が浅くなる。博士を見ているのも疲れてきたが、質問の途中なので、ここでやめるわけにいかない。
「個人を監視し、常にチェックをかけておかないといけない、ですかね?なんか私はそういう体制は嫌いですけど......」
眉を寄せながら何とか出した答えが、博士の琴線に触れたのかもしれない。少しだけ力強くなった声でさらにまくし立ててくる。
「そうだろう。人間は人から目標を押し付けられ、それに縛られ、監視されるのが大嫌いだよ。だから、チームの中で監視をするなんてことをしたら個人のモチベーションが下がって、結果的に目標は実現できなくなってしまう。だからチェックはかけるべきではないんだ。では、どうすればいいかな?」
「...みんなの心に火をつける。みんなが自分からやってやろうじゃないかと燃え上がるように......!」
思わず言ってしまって、本当に自分の口から出た言葉なのかと変な違和感を覚えた。博士マジックにかかって、もう一人の自分がどこかから現れたような感じすらする。しかしそんなことをふんわり考えながらも、さらに言葉は衝いて出る。
「私、博士がいつも言っている1+1=2じゃなく、1+1=5にするのがチームなんだ 、いう言葉の意味を取り違えていました。今、それに気が付きました!」
と思わず言っていた。
「意味を取り違えていたとは、どういうことだね?」
急に大きな声で喋り始めたからか、さすがの博士も少し驚いた顔になっている。
「チームで1+1=5となったとき、生み出された【+3】は、みんなが個人の知恵を持ち寄って、みんなが自分の強みを持ち寄って、それが合わさるからチームとして新しく【+3】のエネルギーが生み出されるものとばかり思っていたんです。さっきまでずっと。でも、それだけじゃなかったですね。チームで励まし合い、みんなで力を合わせて何かを実現しようとするとき、一人ひとりの力そのものがベースアップされて、1.2とか1.5とかになる。すごいときには2倍になることもあるってことですよね」
博士は大きくうなづく。
「その通りだ。いいところに気づいてくれたね。君も成長してるよ。じゃあもう一つ。個人の力を1.5や2にする目標、みんなの心に火をつける目標って、何だろう?」
「...そう言われるとまたわからなくなりました」
せっかく褒めてもらったのに、また逆戻りだ。
「では、原点に戻ろう。我が社の経営理念は何かね?」
「高い品質、スピード、やり抜く心で、三方よしの公共事業の実現をです。」
「君は、この経営理念は何のためにあると思う。単なるお飾りではないんだ。我が社の存在意義そのものなんだよ。」
「どういうことですか?」
「早く適正な用地取得をし、用地提供者の確実な生活再建を実現するとともに、公共事業の早期効果発現を実現して、地域住民の方にも喜んでもらう。地権者からあなたたちと交渉できてよかったと言われ、地域住民の皆さんからも生活が便利になりました、安全になりましたと喜んでもらう 。そんな公共用地取得を実現するために、私たちは日々研鑚に励む。それが私たちの経営理念だよ」
「もちろん、その経営理念の解釈は、私もわかっているつもりです。いつも心に留めています。でも、それがチームの目標と、どう関係しますか?」
「つまりね。みんなの心に火をつけ、苦難を乗り越えさせるエネルギーを生み出すことが必要なんだよ。その元になるのが、『日本という国やそれぞれの地域に必要とされている公共事業は、将来の世代を含めたすべての人々を必ず幸せにする』という信念だ。人々の幸せを私たちの力で一刻も早く、正しく実現してみせる。それは私たちを置いてほかの人たちにはできないことなんだという誇り。それこそが私たちのエネルギー源となるのではないかね?」
また、博士が熱くなってきた。博士の気持ちもわかるが、とりあえずチームの目標については全然ヒントがないから困ってしまう。
それがチーム目標と何の関わりがあるのか私にはわかりません、とはっきり言ってみた。わからないから仕方がない。博士に怒られるのも承知の上でのことだったけれど、実際には怒られるどころか、ちょっと微笑んでいるような表情で、諭すように話し始めた。
「わからないというけれど、君は既にわかっているよ。頭の中では腑に落ちているが、固定観念にとらわれてわからなくなっているだけだね」
チーム目標の話に戻るよ、と宣言した博士は、やっと大切な部分について教えてくれた。
「成果目標の実現を通じて近い将来に日本の新たな国土軸を実現してみせる、とか、3年後に子供が安全に通学できる通学路を実現してみせる、とかっていうような、中期的な我々の用地取得の向こうにある本当に実現しなければならない価値を『意義目標』と言うんだ。チームでは全ての目標を共有する必要があるけれど、特に共有しなければならないのがこの『意義目標』なんだ。『意義目標』は、チーム員を同じ方向に向かわせ、チーム員の自主性を引き出し、知恵と力を結集して、個人では生み出せない新しい価値を生み出してくれる。 それが共有されて初めて本当のチームになるんだよ。すごく重要だろう?」
なるほど...。深い。でもそれを決めて共有しなければチームの力が発揮できないのはわかった。
「そういうもんですか。初めて耳にする言葉でした。わかったような、わからないような。今一つ、まだ私には落ち切りませんが......」
「そうかもしれんが、君はもういいところまで気づいているよ。これから絶対にわかるようになってくると思う。ところで、この用地取得マネジメントは何のために調べてもらったんだったかな?」
あっ!すっかり忘れていた...。
そもそも用地取得マネジメントを学んだのは、研修をするためだった。
「今の今まですっかり忘れてました。現場の用地部門に配属されたら辞めていく若手職員が辞めていかない研修をしてください、に応える研修を考えることでした。一人ぼっちになってしまっている職員を助ける方法を見つけるために、用地取得マネジメントを勉強したんでした」
「そうだろう。ずいぶん答えに近づいてきたんじゃないかい?あと一歩だね」
...本当に研修の内容が仕上がるのか不安だけれど、もう少し博士に食いついて行ってみようと心に決めた田中だった。
チームの力を発揮させるために必要な意義目標について、初めて知った田中。目標には1+1を2ではなく、5にするような力があるのだとわかり、何だか目に見えないものを拝んでいるような雰囲気でしたね。研修内容の決定に向けて、まだまだ勉強は続いていきます。
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