用地取得マネジメントを一から学ぶべく、総合補償士から手渡された「用地取得マネジメント実施マニュアル」(大成出版発行)を読み始めた田中が、初めて工程管理会議に出席します。まだまだ勉強の途中での会議出席に冷や汗ものだった田中ですが、次第にマニュアルと会議の内容の差に気づき始めます。初めての工程管理会議に圧倒されつつも、会議からどんな学びを得ていくのでしょうか。
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用地取得マネジメントを一から学ぶべく、総合補償士から手渡された「用地取得マネジメント実施マニュアル」(大成出版発行)を読み始めた田中が、初めて工程管理会議に出席します。まだまだ勉強の途中での会議出席に冷や汗ものだった田中ですが、次第にマニュアルと会議の内容の差に気づき始めます。初めての工程管理会議に圧倒されつつも、会議からどんな学びを得ていくのでしょうか。
そんなこんなで総合補償士から手渡された「用地取得マネジメント実施マニュアル」を読み始めた次の日。いつも通り出社した田中は、まず本来の自分の業務に取り掛かった。
「まず、自分の仕事を片付けないと...」
用地取得マネジメントを学べと博士から指示が出ているとは言え、そもそもこれは本来の仕事ではない。今日は新しい勉強は置いておいて、まず本来の業務を片付けなければ。「あれ、どうなってる?」と言われたら辛いしなぁ。
と、仕事に取り掛かった矢先、マネジメント課長から「田中さん!」と急に声を掛けられた。背後から呼びかけられたから、ちょっとびっくりしたが朗報だった。
「田中さん、今日これから10時から12時まで、○○線事業の工程管理会議があります。とりあえず一度、会議に入ってみますか?」
「はっ、入ってみま~す!!でも 急に会議に部外者といえる自分が入ってしまっていいんですか?」
「もちろんいいよ。他の出席者には私から田中さんが参加する旨を言っておきますので気にしないで。10時になる5分くらい前に、第一会議室に来てください」
...まだまだ、勉強を始めたばかりだけれど、急に工程管理会議に入るチャンスがやってきた。課長、ありがとうございます!これから用地取得マネジメントの現場に立ち会えると思うと、ワクワクする。どんな会議なんだろう、怖いのかな?
ちなみに、我が社では事業場所別に4つの工程管理会議が運営されているらしい。 事業の進捗状況にもよるらしいけれど、原則として月2回、定期的に開催されているらしい。自分はこれまでに出席したことがないので、すべて伝聞だけれど、担当者はこの会議をずっと定期的にやってきているというのだ。
希望すれば、月に8回も工程管理会議を見学できることになる。どの事業の会議も同じような感じなら、2、3回くらい会議を見せてもらえば済むかもしれない。とにかく、初めての今日の会議をしっかり観察して学ばないと。これから早く自分の仕事を片付けて、準備万端の体制で会議室に向かわなければ!
10時になる5分前。
第一会議室に行ってみると、長机がコの字型に配され、正面に大きなスクリーンが設置されていた。スクリーンには工程管理表(総括表)がドンと映し出されている。
「いかにもな見学席...(汗)」
コの字型の机から離れた後方に1つ椅子がある。自分の席はどう考えてもあそこだろう。いかにも見学者席という感じで、浮いている...。余計に緊張するけれど、全体を見渡せるし、動こうと思えば動けるし、自分には合っている席なんだろう。
10時ちょうどに全員が揃い、会議が始まった。
運営は、マネジメント課のこの事業担当の課長補佐と担当が事務局となって行うらしい。課長補佐が司会となり、担当がパソコン操作を行っている。
出席者は?とグルッと机に沿って視線を回して観察してみると、真ん中に部長の博士、担当部長、調査役(この3人は用地歴20年~30年のベテランたちだ)。両脇にマネジメント課長と交渉第一課長が座り、交渉第一課長の横から交渉担当者、物件担当、測量担当が座っている。
このメンバーは固定ではないらしく、今日のメンバーは最大人数かもしれない。それにしてもたいそうな会議だ。でも、不思議と緊張感は漂っていない。皆和やかにニコニコ微笑んでいる。
正面スクリーンに映し出されている工程管理表(総括表)は、どうやらエクセルで作成された表らしい。初めてみる表だけど、左端から右端に進んでいっているというのはわかる。
工程管理表の項目欄(左端から)
◯図面番号
◯権利者名
◯補償金額
◯測量
◯物件調査
◯調書作成
◯補償金算定
◯補償金照査
◯補償基準説明
◯補償金提示
◯合意
◯契約締結
◯明渡し
ズラッと項目が並んでいる。
いきなりこれを見ると圧巻だ。圧倒されるが、何とか読み解いてみる。
「図面番号」は、事業全体の測量図上に付された番号のようだ。真っ白な測量図なので、その図の上に、土地所有者・借地人ベースにナンバーが付されている。借家人はその枝番が管理表で与えてわかるようにしているようだ。マンションやアパートは借家人の件数が多いので、別途に表が用意されているらしい。それぞれの項目が白抜きになっている。
「補償金額」の欄は、記載されている人といない人がいる。表では、補償金照査までの色塗りが完了した権利者に金額が入っているから、補償コンサルタントからの成果品を正式に受け取った権利者から数字を入れているようだ。補償項目は「土地代」「物件補償」「動産移転料」「営業補償」「移転雑費」と細かく分けられている。権利者によっては、「家賃減収補償」とか「借家人補償」などの項目が書かれたところもある。
そして、それぞれの項目に日付が入っている。日付欄の左側は色塗りされたものが多く、右側は色が入っていないものが多い。日付をよく見てみると、色塗りされた日付はすべて過去で、色がない欄の日付は未来になっている。
「あっ、なるほど!」
と心の中で大きな声が出た。
色塗りされたところは「その項目まで終わりました」ということ。日付は完了日だ。そして、色が入っていない欄は「この日を目標に終わるように頑張ります」という目標設定だから未来の日付なんだ。もちろんだけど、明渡し目標日が工事着手日前になっている必要があるということだな。
「アレ...?」
表を見ればみるほど、なんともいえない違和感が出てくる。
この表で工程管理会議が開かれているということは、この表が「用地取得マネジメント実施マニュアル」にあった「用地取得工程管理計画書(管理用)」に違いない。でも、全く似てないし、別物に見える。どういうことなんだろう?
そうこうしているうちに、会議が始まった。椅子に座って見学する。
司会役はマネジメント課の課長補佐だ。立ち上がって話し始めた。
「さて、前回の会議から2週間が経ちました。この間、用地交渉や、それに関連するいろいろな調整を行ってもらっていますが、交渉班に作成していただいた交渉議事録を私たちなりに読み込んで、各権利者の用地交渉経緯書に要旨を追加しておきました。また、前面スクリーンの総括表で項目が完了したものは新たに色塗りをしています。ではここから、権利者ごとの用地交渉経緯書を表示します。交渉担当者から交渉内容の報告をお願いします。これまでに何が進んで、何が問題となって進んでいないのか、それにどういう対応をしたのか、今現在の課題は何か等を説明してください 」
司会が話している間に、スクリーンに図面番号1の土地所有者・建物所有者の借家人であるA氏(番号1-2)の交渉経緯書を映すのか。スムーズだなあ〜〜。いつもこうやって進んでいるんだろうな。
交渉経緯書と名づけられているからには過去からの交渉が全て網羅されているのだろうな。だけど、スクリーンには直近のものだけが表示されているし、交渉内容だけが記されているわけでもない...。
工程管理会議で方針決定された事項も記されているし、この権利者の要望にそって移転先の借家物件を探しに行った情報も記されている。交渉日にも赤字で問題や課題が書き込まれている。交渉した結果、交渉担当者は今日の交渉でこの点が問題や課題として残ったと考えましたということまでが記録として残されているということなのか。
「うーん、これはマニュアルに載ってなかったなぁ」
実施マニュアルにこんな様式は全くなかったのに、どうなっているんだろう。これはどこから出てきたのか?この会議は本当に「工程管理会議」なのか?
新しいことばかりで頭が疲れてきたけれど、がんばって見学しよう!
刺激を受けながら、見学席で手に汗を握る田中。初めての工程管理会議、初めて見る用地交渉経緯書、マニュアルと全然違う表...。知らないことばかりが田中の頭を駆け巡りますが、昨日まで読んでいた「用地取得マネジメント実施マニュアル」とは違う様子だということに気づいたようです。これから会議でどんなことを学んでいくのでしょうか。会議の議論内容にも、ぜひご注目ください!
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