「用地屋がもつべき五感とは?」
用地屋が持つべき五感とはどういったものなのか?前回は"用地耳"について博士から教えていただきました。クラシック音楽を聴くこととよく似ているという話には驚きましたね。
次は、"用地目"のお話です。目の話なのに、なぜか、博士はNHKの「チコちゃん」ファンだと言い始めました。「チコちゃん」と"用地目"はどう結びつくのか...!?お楽しみに。

用地屋が持つべき五感とはどういったものなのか?前回は"用地耳"について博士から教えていただきました。クラシック音楽を聴くこととよく似ているという話には驚きましたね。
次は、"用地目"のお話です。目の話なのに、なぜか、博士はNHKの「チコちゃん」ファンだと言い始めました。「チコちゃん」と"用地目"はどう結びつくのか...!?お楽しみに。
情報の9割は目から入ってくるけれど、意識しなければただの画像になってしまう
私はNHKの「チコちゃん」のファンだ。
特に「ぼぉーっと生きてんじゃねえよ!」のフレーズが大好きだ。
...お前たち、ぼぉーっと生きてんじゃねえよ!!
"用地目"のことを聞こうと思っただけなのに、博士はチコちゃんばりの大きな声で田中に迫ってきた。つまり、ぼぉーっとしていると、"用地目"は持てないということなのだろうか?
目は、人が外界の情報を得るための主要な器官だ。
情報量の9割は目から入ってくるというのは知っているか?
開けた瞬間から、目は外界の情報を取り入れているんだ。
ところが、君の頭が情報を受け入れる体制になっていなかったら...。
何の情報ももたらさない、単なる流れる画像に成り下がってしまう。
目から入ってくる画像に意味を与えるのは、自分。
流れる画像から意識的に情報を読み取り、脳にインプットして積み上げていってこそ有効な情報となる...。
チコちゃんのセリフは、博士が言いたいことなのだな。
ぼぉーっと生きるなということか...と田中は頭を打たれた気分になった。
そうしてからやっと、博士は 用地交渉担当者が権利者宅を訪問する という、わかりやすい話を出してくれた。
1. インターフォンを押す
2. 挨拶をして門から入れてもらう
3. 玄関に入れてもらう
4. リビングに上げてもらう
この瞬間瞬間に、目には情報が雪崩のように入ってきているはずだ。
ここで何も自分の頭にインプットできていないなら、用地屋といえない。
交渉相手と話をする前に、相手の家からたくさんの情報が得られている。
家が発している情報、自分はそれにどれくらい気づけているのだろう。
そういう自分に対して、「目の玉ひん剥いて、よく観察し、頭に叩き込め!」と博士は言ってくれているのだな、と田中は理解した。
用地担当者と地権者には、同じ家でも違う家に見えている
せっかく用地屋が理解しやすい話だったのに、このあとの博士の話は分かりづらかった。
いつものことだが、博士独特の理論なのだ。
まずはじっくり、博士の言い分を聞いてみよう。
用地担当者は、土地と家を財産として評価し、その評価を元に算出した額を相手に補償として提示する。
けれど、その人にとっては、土地と家は単なる客観的な価値をもつ財産というだけでなく、自分自身を投影した"人生のありようそのもの"といえる主観的な価値のある財産なのだ。
用地担当者:土地+家=財産 → 客観的な補償
地権者 :土地+家+人生=財産 → 人生の査定を含んだ補償
◯ なぜ、この土地を選び、
◯ なぜ、生まれた時から住んできた土地になぜ住み続けるのか。
◯ なぜ、このような家を建て、
◯ なぜ、こうした庭を作って手を入れてきたのか。
◯ なぜ、こうした部屋割りで、
◯ なぜ、台所が独立式/対面式なのか
選択肢それぞれに、その人の人生が関わっている。
われわれが算定した補償金は、その人の人生を査定したものと解されてしまう恐れもある。
例えば、仕事で言えば人事評価は仕事の評価で人格の評価ではない、とはいうものの、仕事=人格と考えている人にすれば、人格を評価されているのと同じだ。その人にとって、仕事で得た低い評価は人格否定でしかない。
それと同じことが、地権者とのやり取りでもいえる
つまり"用地目"は、地権者の人格の表れとして土地と建物を見ること。
用地担当者は、相手の主観的な価値観を感じ取らなければ、スムーズな交渉を進められないのだ。
「なるほど、それが用地目なのですね」と田中が言葉にしようとした瞬間、博士の続きが始まった。
「この話は、用地目の一部」と博士は言い出した。
博士のリズムに取り込まれて話が長くなってきたが、大事なことのようなので、このまま続けてもらうことにした。
相手と接触するすべての場面で、情報は転がっている。
これを心の目で見て、見逃さずに頭へインプットできるかどうかが鍵だ。
特に、玄関やリビング。
その人の人となりを知ることができる情報で満たされている。
そのチャンスの時間に、その日の説明や説得のことばかり考えていては、隠された膨大な情報を見逃してしまうことになる。
交渉相手を知る。
そのために、目からたくさんの情報を仕入れて、頭で整理する。
これが用地目だ。
やっと、用地屋の目がどういうものか、結論が出た。実践的な話になり、田中もホッと胸をなでおろした。
自分の目でみて判断し、自分から貪欲に相手に合わせていこう!続けて、「よく聞く話」として、用地屋の失敗談を教えてくれた。
"用地屋あるある"のような話だった。
用地交渉班に人事異動で配属されたとき、まずは前任者の交渉議事録を読むだろう。
そして、周りにいろいろ聞くと、噂話も聞かせてくれる。
そうした情報も役に立つが、直接本人と接する前に、相手に対する固定観念ができてしまう可能性はないかい?固定観念ができてしまうと、そういう色眼鏡でしか相手を見られなくなってしまうよ。
噂話 → 固定観念 → 色眼鏡 <地権者
そのために、目からたくさんの情報を仕入れて、頭で整理する。
この状態で、真の相手が見えていると思うか?
特に、困難な相手に関しては、情報にたくさんの尾ひれがつけられていることが多い。
真の相手方より巨大な姿形に色付けされていることもよくある。
相手と会うときは人を介して得た情報をいったん白紙にして、自分なりに相手の人となりを把握する努力しよう。
交渉に行く前から実像より大きな虚像を頭に叩き込んでいるということは、戦う前から負けているとも言えるよね。
その他にも、
◯ 相手のその日の体調や気分、感情、機嫌等をすばやく察知する
◯ (あまりいい用地目ではないが)相手のごまかしやうそを見抜く
◯ 相手の呼吸を目で読む
このような"用地目"の役割があるという。
交渉事をまとめるために、相手の理解度や悩み、不安、気になることに気づいていかなければならない。目で見極め、そして対話を中心とするコミュニケーションで引き出していく。
交渉前の情報収集には、観察力と引き出す話術が必要なのだ
田中は、普段そんなことを気にして話していないから不自然にならないかとひどく不安になってきた。観察しながら情報収集をするなんて、やることが多すぎて、ギクシャクした会話になってしまいそうだ。
1.交渉担当者が自分の話にメリハリをつける
話に強弱をつける。自分が強調したい話に移るとき、その前に間を入れなければならない。それは自分のペースでなく、相手が大きく息を吐いた瞬間が狙うべき間だ。相手が大きく息を吐いたら、交渉担当者は「ここから大切な話をしますよ、よく聞いてくださいね」と言う。これで押し付けなく、言っておくべきことを言える。
2.相手が息を吐いたら介入する
相手の話に反論、留保(=保留)をつけておくべき時も同じ。相手に話し続けられていると、相手は話が了解されたと受け取るかもしれないが、話を止めれば機嫌を損ねる。介入の瞬間は、相手が息を吐いたとき。人間どこまでも一息でしゃべれるものでなく、必ずそのときはやってくる。「少し私にもお話しさせていただけますか」と断り、やんわりと留保事項を述べていく。相手の機嫌が悪くなったとしても、その度合いは少なくて済む。
3.相手の話の時に相手に呼吸を合わせる
間を大切にしながら、適切なリズムで相づちを打つ。相づちは、うなづきと合いの手(=そうですね、それはいい。楽しそうですね、それは面白い、うらやましい等々の短い言葉)で構成されるもの。それを適切なタイミングで、円滑に相づちを打つ。相手の息遣いを感じて自分の呼吸も同期させるのは用地鼻の役割だが、同期に入るタイミングは用地目の観察からしか入れない。日常会話から意識して修得しておかないと、意識しすぎて自然な会話ができなくなるので注意が必要。
...これを全部やったら、真っ当な会話ができない気がする。
でもまあ、博士にそんな反論をしたら、「簡単にできないから日常的に意識するんだ 」と言われそうだ。まずは全体を教わることを優先しよう。次に聞いておきたいことを博士に振ってみることにする。
次回は、用地屋のもつ鼻について。
『用地屋は1日にしてならずvol.6 〜用地屋のエネルギー補給法〜』をお届けします。
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